研究概要 |
産業内貿易に関する文献の収集,研究を集中的に7月までにこなし,7月から8月初旬にはOECDにK. Fukasaku氏を訪ねて,データ,過去の研究成果,今後の共同研究の可能性などを探った。OECDの大きなテーマにアジア太平洋地域の,ことに中国の動向に大きな関心があるということで,本研究との関連も強く,この面で情報交換が今後期待できる。その後,9月まではブランダイス大学でMichael Plummer, Peter Petri, M. Kreinin教授と地域統合,モデル開発について意見を交換,研究交流を活発に行った。ことに,GTAPモデルの研究が全米で行われていること,GATT事務局の開発した経済統合の効果を実証するSMARTモデルの存在を知り,その後の研究の参考になった。ことにPlummer教授の関税データを提供してもらえることになったのは大きな成果であった。9月からは,神戸大学に戻り,フランス,アメリカで収集した文献データの整理にあたった。Sunのワークステーションに基本ソフトを導入し,安定的に動くようになってからは,上記のGTAPプロジェクトと連絡をとり,そのデータ,モデルをダウンロードして,2000年のAPEC経済を分析するベストの方法を模索している。この間,いくつかの論文を公表することができた。1996年1月には香港で開催されたアメリカのWestern Economic Associationの年次大会で“Intra-Industry Trade of Japan and the United States"を発表した。2月から現在にかけて,産業内貿易とアジア太平洋地域に関する論文をいくつか執筆すると同時に,データの整理,ことに新たなOECD貿易データを47部門に統合するという作業に入っている。GravityモデルとOECDモデルを統合した形のプロトモデルの構築は緒についたばかりである。
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