I.日米独の対内直接投資の実態 日米独を比較すると米国は対内直接投資という経路を経ての相互依存度が究めて高く、日本は量的にも(対GNP比) 質的にも(対内/対外直接投資比率)この点に関して他国との連係が薄い。ドイツは日米の中間に位置する。同じ欧州の英国と比較すると、ドイツ市場への参入手段として諸外国は直接投資以外の手段を使用する度合いが高い。 II.対内直接投資に関する政策論争の比較検証 対内直接投資のあり方が問題となった背景が異なっており、政策論争も各国に特徴がある。 (1)米国:資本移動論の延長線上の議論(経常収支の赤字を埋める外国資本の一翼としての役割に視点を置いた議論)や、いわゆる空洞化論の延長戦上の議論が代表的であり、後者に関しては外資系企業における企業内貿易のあり方が鋭く問われている。 (2)ドイツ:産業立地国としてのドイツの弱体化との関連で対内直接投資が論じられている。政策提言は包括的である。 (3)日本:直接投資における不均衡問題(対外・対内投資額の比率)と空洞化論議において対内直接投資の役割に関して再検討が加えられている。
|