バブル崩壊後、地価は下落の一途をたどっている。このため、地価上昇と開発利益の確保を目途とした開発はほとんどみられなくなった。本研究期間においても、開発と規制との相克関係は激変した。企業などによる開発意欲は急速に低下している一方で、景気対策の一環として、これまでの政策と逆転して、規制緩和の方向へと大きく転換した。2000年ごろからは都市再生策として規制をなくす「特区」すら設置された。 しかし古都保存法による開発規制区域を中心にして、環境保全のための規制は強められていることは注目に値する。飛鳥や京都、奈良のように規制を一段と強める自治体と、鎌倉市のように古都の環境を守りながらも、一定の限度で開発を認めようという方向に転じたところもある。この対比については実態調査などでかなり解明できたが、本研究では、日本経済再生の政策とも合致する鎌倉市の事例に特化してまとめてみることにする。
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