本年度は科研費の最終年度となるので基本的には、これまでの調査研究の調整と最終報告書作成のための総括的なとりまとめをなすことに力点をおいたものになった。まず前者については昨年3月20日より4月2日まで山本・天野が上海浦東を中心に訪中した。そして、この間のわれわれの研究協力者である陳・王・〓の各先生と協力して作成した冊子『浦東新区における日中合弁企業の現状と問題』(中口題『浦東新区中日合資企業的現状与問題』)をもとに浦東新区経済貿易局幹部と当局において研究集会を開催した。そこでは山本が「日中合弁企業の現状」について天野が「対中投資の動向と展望」について報告した。又、企業調査としては、金型企業、印刷業、電子部品業、不動産業などを訪門調査を行った。それぞれの業種で日中合弁企業の現況や課題、将来見通しなどについて意見を交換した。さらには数社より、従業員の査定表を入手した。査定表の入手は仲々困難であるが、今回入手出来たことは幸いであった。その査定表(企業によって名称は異なっているが)の内容によれば、日本側としては、日本の経営システムの導入に意をそそいでいることがわかる。広い意味での技術移転の実態がその一端が分析されよう、日本においても中国での情報をもとに補充の企業訪門調査をとりおこなった。これらをふくめて、後者の最終報告書にその内実がとりこまれることになる。
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