1.今年度は主としてスウェーデンの高齢者ケアについて研究をすすめた。 (1)スウェーデンの高齢者ケア費用は564億7000万クローネ(1994年)であり、これは対GDP比で3.72%にあたる(統計上、障害者ケア費用も含む)。なお、この比率は1990年の3.24%から急増している。この理由としては医療費の一部が高齢者ケア費用に統計上組み替えられたことによるが、主たる要因はスウェーデン経済の停滞によるとされる。 (2)エ-デル改革(1992年)により、高齢者医療の一部(プライマリ-ケア、長期療養)が県からコミューンに移管された結果、上記高齢者ケア費用はコミューンが担うことになり、コミューンの関連経費は293億300万クローナ(1991年)から512億7200万クローナ(1992年)へと急増した。1994年における財源内訳はコミューン財源80.1%、国庫補助金2.1%、料金等8.5%、その他9.3%となっている。エ-デル改革および翌1993年の補助金改革により国庫補助金の比重が10数%台から急減し、コミューン財源(国庫一般補助金含む)の比重が高まった。 (3)財政緊縮のもとでサービスの重点化・料金制度導入などの政策や、サービス組織と権限・予算の地域分権化をはかりサービスの「効率化」をすすめる自治体が拡大しつつある。 2.イギリスではコミュニティケア法にもとづき地方自治体ごとにケアマネジメントを展開しつつあるが、民間委託運営の拡大を行っている。なお、同国でも介護保険構想が登場した。
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