研究成果報告書概要 公企業の民営化・規制緩和は全世界的な潮流であり、我が国もその例外ではない。本研究は大規模な産業の規制緩和の1つである航空輸送産業の、規制緩和前後の生産性の分析を3ケ年かけて行なった。オーストラリアと日本の航空輸送産業は長い間、政府規制の対象とされており、最近、ほぼ同時期に規制緩和された。しかし規制緩和の前後を通じていぜんとして主要企業の3社体制をほぼ踏襲しており、新規参入企業も今のところまったくない状況である。これまでの航空輸送業の生産性および規制緩和前後の先行的な分析はすべてアメリカなどの大規模なマーケットを対象としたものであった。そこで市場規模の似通った日本とオーストラリアの同産業の規制緩和前後の生産性の変化に関する分析を実施した。 分析手法は、コブ・ダグラス型の簡単な費用関数を用いてパイロット分析を行い、そののちトランスログ型の費用関数を用いて規模の経済性、技術進歩等の分析を行なった。その結果、両国とも規制緩和の後、平均費用が上昇しており、これは規制緩和の直接の影響のためであり、規模の経済性が小さくなっていることがわかった。さらに企業ごとの技術進歩の分析では、規模の小さな企業ほど技術進歩の大きな影響を受けていることがわかった。これらの結果をとりまとめて報告書を作成して出版した。
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