(1)ナチス期ドイツの価格統制政策 本年度は、第二次大戦前の時期を中心に分析し、この時期をさらに(1)価格監視期と、(2)公的価格形成期とに分けて検討した。(1)は1933年2月第一次四ケ年計画に始まり、過当競争を除き、公正な取引の原則に立って、農・工の経営的再生産を確保する目的で経営者自身による自治的な価格協定を促す政策が実施された。強制カルテル法、穀物価格安定法等がその事例である。しかし、この時期は、さらに、上記の政策、また再軍備準備等による価格引上の傾向に対して、それを抑止する時期を含んでいる。価格統制機関の整備、食糧品・工業品価格統制が行われる。(2)は、1936年9月第二次四ケ年計画と共に始まり、価格引上の禁止とその調整の政策により、単なる「監視」をこえて、より積極的な価格安定政策をめざした。「公益」と「私益」との調整がここで問題となる。 (2)日本における統制経済論とドイツ認識 『日本統制経済全集』はじめ日本における統制経済論とそこでのドイツ受容を検討した。 上記の成果の一部を研究会において報告すると共に、各地の専門研究者と個別的に討議した。
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