今年度は本研究費にかかわる研究業績を発表するには至っていない。成果報告書の作成に向けて全力をあげている。資料収集については、大阪市立大学が所蔵している華北総合研究所作成の資料(太平洋戦争下の農産物収買関係)、国会図書館所蔵の満鉄関係資料(もとは米議会図書館所蔵資料で国会図書館がマイクロ撮影したもの)、米議会図書館所蔵資料(戦時下のアジアでの農産物収買やアヘン関係資料)等の資料を、コピーしたり複写依頼を行ったりした。また三井文庫でも、前年度に取り残した資料の複写を依頼した。京都大学、東洋文庫、一橋大学での資料調査も行った。資料収集に関してはかなり充実したが、逆に膨大な資料を読み込むのにてこずった。中国、満州での活動はほぼ明らかにできたと考えているが、南方については当時の文献も満州・中国よりも少ないため、資料面で見劣りするのは否めない。 書籍の購入は金額も多くないので、補充的なものにとどめた。また資料が大量に集まったので、その一部を製本した。 研究の進展による新たな知見としては、細部がかなり実証的・具体的に明らかになったが、基本構想に関しては従来の自説にほとんど変更はなかった。ただし泰平組合の活動については、日中戦争前迄が意義を持つので、その後については民間会社の兵器扱いもあわせて考察する必要を感じ、その点についても研究を進めた。
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