研究課題/領域番号 |
07630085
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
井澤 秀記 神戸大学, 経済経営研究所, 助教授 (80159657)
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研究分担者 |
藤田 誠一 神戸大学, 経済学部, 教授 (40135778)
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キーワード | 欧州通貨制度 / 欧州通貨危機 / 投機的アタック / 欧州通貨単位 / 欧州通貨統合 / 欧州中央銀行 / 欧州単一通貨 / ユーロ(euro) |
研究概要 |
井澤は、1992年9月と93年8月の欧州通貨危機に関して、理論的かつ実証的に分析した。ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)が悪いために通貨危機が発生するというクル-グマンの伝統的な理論に対して、投機家の自己充足的期待(self-fulfilling expectations)の変化によるというオブズフェルドの最近の理論を批判的に考察し、シグナリング・ゲーム理論による代替的な説明を金融学会秋季大会(北海道大学)において1997年11月1日に発表した。さらに、欧州委員会の97年の経済見通しを基に通貨統合参加の5条件をどの国が満たしそうか検討した。98年5月に経済実績に基づいて参加国の第一陣が決定され、参加国間の為替レートも同時に決定される予定である。99年1月1日に欧州単一通貨「ユーロ」が誕生した時に、国際金融・資本市場にどのようなインパクトを及ぼすかデータに基づいて検討した。経常・資本取引、外国為替市場における取引、および公的外貨準備などの観点から、国際通貨としてのユーロが基軸通貨ドルに長期的に匹敵する地位を持つ可能性のあることを指摘した。 藤田は、EMSにおける非対称性の発生過程とその意味を、国際収支調整、国際通貨の機能という2つの側面から分析した。1999年1月にEMUがスタートすれば、金融政策は一本化され、各国通貨は単一通貨に転換されるため、これらの非対称性は消滅することになる。しかし、実体経済面における各国の非対称性は依然として残るため、EMUが実物ショックによって撹乱される危険性があることを明らかにした。これらについては、信用理論研究学会(「EU通貨統合:非対称性と国際通貨論の視点から」、11月3日、北星学園大学)、国際経済学会関西支部シンポジウム(「EUの通貨統合」、12月20日、関西大学)において報告した。
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