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1996 年度 実績報告書

中国返還を前にした香港の金融システムに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 07630089
研究機関法政大学

研究代表者

横内 正雄  法政大学, 経営学部, 教授 (20166870)

キーワード香港 / オフショア市場 / 国際金融市場 / 1997年 / 中国返還 / 為替基金
研究概要

香港金融市場の特徴は3点に集約される。まず、中央銀行が存在しないことである。そのため、銀行券の発行は、民間銀行である香港上海銀行、スタンダードチャータ-ド銀行、中国銀行の3行が為替基金に米ドルを預託することによって1米ドル=7.8香港ドルのレートで銀行券を発行している。ただ、1993年に香港は通貨管理庁を設立し、これに実質的な金融政策を担当させるようになってきている。第二に、銀行構造は三層構造をなし、免許銀行、限定付免許銀行、預金受入機関からなるが、総資産規模からしても免許銀行が圧倒的な規模を持っている。また、免許銀行は、その多くが香港以外で法人格を与えられており、地場の銀行は必ずしも多くはない。第三に、香港金融市場は完全なオフショア市場であり、外貨建て取引と邦貨建て取引との間の制限はない。この点アジアの他の金融センターが内外分離型のオフショア市場であるのとは異なっている。
以上の特徴を反映して、香港に所在する銀行は対外的なオペレーションを活発に行っている。中でも、日本の銀行の香港金融市場にしめるプレゼンスは大きく、それは香港を媒介とする資金循環を形成している。すなわち、日本のオフショア市場から外貨建て(円建て)で資金を受け入れ、それを日本に貸し付けるというオペレーションである。このオペレーションは、1980年代末に拡大して90年代には若干減少したものの、現在でも香港金融市場の対外金融取引のかなりの部分を占めている。他方、対中国との取引では銀行システムの取引としては日本に次ぐ規模であるが、統計的に把握できるのは銀行の対外的な短期の対外的な貸付残高のみである。そのため、シンジケ-トローンの形での対外貸付はかなりの規模であるが、定量的に捉えることは困難であった。この点の解明は今後の課題である。

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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