近年の持続的な円高、その他の外的な国際環境の変化によって、企業はその国際競争力を維持するために、生産拠点を海外に移し、あるいは部品を国際調達する傾向を強めている。とくに後者の部品の国際調達についてはその実態はまだ余り解明されていない。そこで、本研究は部品の国際調達の実態解明に焦点を当て乍ら、国際競争力を維持し生き残るために、企業はどのような対応をしようとしているのか、あるいは、これからの企業の戦略的方策がどうあるべきかを考察した。 先ず、「企業の概要」「売上高と経常利益」「輸出額と輸入額」「海外生産活動」「海外部品調達」の内容からなるアンケートを作成し、『日経会社情報』(季刊'95-III夏号)に掲載されている521社にアンケートを送付し、204社から回答を得ることができた。これら204社の回答をもとに企業の国際部品調達の実態を整理するとともに、実際に企業を訪問して関連する各部門の責任者や担当者にインタビューを実施し、できるだけ生の声を聴くことにした。これらの調査を通してとくに印象を強めたことは、急速に変化しつつある外的環境、とりわけ持続的な円高は、企業が好むと好まざるとに拘らず、部品の海外調達等によるコスト・ダウンを企業に緊急課題として強いているということが予想以上にはっきりと浮き彫りにされたことであった。したがって、本研究もそのことを中心に据えて本来の目的を展開できたことでその成果を高めることができた。 なお、アンケートの集計結果については、研究ノートとして京都産業大学『経済経営論叢』第31巻第3号に掲載することができた。
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