研究概要 |
1.各種公益サービス事業の価格・組織制度の理論的整理:事業形態およびサービスの質,公共財と私的財の性格,そして事業展開エリア(国,文化)等の違いにより価格制度が異なる.また事業の目的関数(利益最大か収支均等か)によっても違いがある.本研究ではこれら各種の道路料金理論について総括的にレビューした.日本の高速道路の場合は基本的には公設公営であり,償還制度の元で価格(料金)が設定されるが,国際的にはバライエティがある.ただ,償還に用地費や建設費や資本費を含めると,償還後に矛盾が露呈する.これらを償還からはずしたとき料金水準はいくらになるか,またいくらにすればよいのかについて慎重な検討が必要である.本研究では,建設主体,資金提供者,運営主体,さらに建設後あるいは供用開始後一定期間後の移管,等々の形態についても考察した. 2.新しい理念化での価格づけ:料金改定がままならない現在,かといって価格が低いと潜在需要が顕在化し「高速道路」はなくなる.では高速サービスを維持してゆくための水準を求めるために混雑料金や環境税の概念も導入する必要がある.そして,その理念が公共的であれば公的助成が正当化される.しかし高速サービスはあくまでも私的財であるので受益者負担原則が適用される.ここではTDMの観点からいくつかのプライシングについて理論的検討と計算による効果について検証した.(計算例については機会を見て公表の予定である.)
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