研究概要 |
「経営の国際経営理念」について,次の理論的枠組みを作成した.1)国際的な経営内部の開発,2)国際的な経営のインフラストラクチャー開発,3)国際的な経営の社会開発の3つである.この枠組みに従って、アンケート調査を一部上場445社に行った.この調査により,新しい国際開発の領域の問題の所在を見出すことができた.とくに,経営理念に関しては,それぞれについて,次のような結果が得られている. 1)国際的な経営内部の開発-「事業領域と事業活動についての理念」「企業の国際的環境の理念」そして「企業の本質と存在意義についての理念」が重視されている,2)国際的な経営のインフラストラクチャー開発-「企業の国際的環境の理念」「事業領域と事業活動についての理念」が重視である.3)国際的な経営の社会開発-「企業の本質と存在意義についての理念」「企業の国際的環境の理念」「企業の社会的環境の理念」そして「顧客についての理念」に力点がおかれている. また,国際開発の個別問題として,まず日本企業の人的資源管理の内部システムを経営見地,経営理念,経営戦略,経営制度,価値,成果の6領域からなる流れとしてみると,経営制度の領域で通説とは異なる結果,すなわち変化が生じていることが顕著に見られる. 次の個別問題として,国際経営における組織構造のあり方という観点から,組織の公式化に焦点を当てるために,グローバル経営を推し進める銀行を研究対象とし,企業の国際開発経営への方向を探った.「公式化」には,情報共有化という側面はもちろん,経営理念,経営方針等を明示すること,またリスク管理体制の根幹ともなる役割を担っていることが明らかになった.
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