研究概要 |
3年間にわたる研究実績の概要は以下の通りである。 (1)まず、わが国企業の投資行動と経営行動との関係を明らかにするため、日本開発銀行の企業財務データ・バンクとその分析ソフト(平成7年度購入)を用いて実証分析を行った。そして、バブル期以降、わが国企業が行った投資は、必ずしも収益性や成長性の増大に直結していないことを明らかにした。 (2)そこで、平成7年度に実施した上場企業約1,000社に対するアンケート調査データをもとに、まずわが国企業の資本投資システムの特質や問題点を解明した。またそれに先立ち投資決定問題に対する組織論的アプローチの意義を、英米文献のレビューを通して検討した。 (3)次に、上記のアンケート調査データをもとに、投資案の属性や意思決定プロセスやマネジメント・スタイルといった組織変数と、評価決定スタイルとの間にどのような関連性がみられるかを検討し、その上でどのような投資環境において、どのような評価決定スタイルが最もよく用いられているかを実証的に明らかにした。当該実証分析は、パソコン機器(平成7年度と平成8年度に購入)を駆使して行った。 (4)そして、コ-ポレート・ガバナンスに関する議論にも目を向けて、市場原理(つまり株主の視点)も組み入れた新たな目標基準なり評価基準の可能性を検討した。その結果、added valueを用いた新たな財務目標システムの可能性を提示した。さらに、わが国企業の財務データを用いて、実証面からも当該目標基準がどの程度の現実妥当性を有するかを検証した。 (5)その上で最終的に、以上の成果を書物の形にまとめて公刊した。
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