平成8年3月末までに、企業倫理の確立に向けて努力を行なっている日本企業3社から15人ずつ(計45人)の管理者に対するインタビュー(1人につき2回ずつ、計90回)をすべて終了した。それぞれのインタビューを録音したテープの第1次筆耕作業もすべて終了、現在、筆耕済み原稿の内容チェック(2次筆耕作業)および編集作業を並行して進めており、編集済みの一部については英語への翻訳作業(米国業者へ外注)に移している。 この進行中の研究プロセスにおける一つの成果として、日本の企業管理者が倫理的意思決定を行なうに際して、会社の方針や風土が大きな影響を及ぼすことが判明し、この点を強調した論文「日本における企業倫理制度化の有効性に関する一考察」を平成8年6月に開催される組織学会において発表の予定。また、同論文の英語版“Is the Effort at Institutionalizing Ethics Effective?: Case Studies from Japan"を同8年7月に開催される第1回経済倫理国際会議(於、千葉県柏市、モラロジー研究所)で発表の予定。また同論文は、Journal of Business Ethicsにも投稿中である。 筆耕作業に予想以上の時間を要しており、当初の研究計画より若干の遅れがあることは否めないが、収集したデータの質もまずまずで、平成8年度中にはすべての翻訳作業も終え、最終成果の形が見えるところまで待っていきたいと思う。
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