先進工業国のなかで、ドイツ税制は、租税法律主義のもとで連邦議会によって制定される異なった税によって構成されている。そのなかに法人税制も存在しており、法人の事業活動に対して課せられる単一税でなく多様な法人の税負担のなかの1つとして法人税がある。法人の税負担は、所得、資本、消費を課税ベースとして行なわれるが、法人税は、法人の所得を課税ベースとしている。近年、この法人課税ベースに関して、ヨーロッパ連合加盟国域内で税制のハ-モナイゼーションが起きている。それは、ヨーロッパ連合加盟国において、企業結合が進んできたことを背景とした税制の調和化であるが、ドイツにおいても、このヨーロッパ税制調和化を受けて、税制の再編が焦眉の課題となっている。 法人格を有する企業は、法人税の対象とされ、株主が自然人であれば、所得税、そして、法人が株主であれば、法人税が課せられるが、法人税の課税ベースである所得の算定は、所得税法に適用されるのと同じ企業会計の方法が原則として準用される。この法人税のなかで、企業結合の課税システムとして、ドイツで認められているのが機関制度(オルガンシャフト/0rganschaft-Fical Unity)と呼ばれるものである。機関制度とは、親子会社の課税関係を捉えるために設けられたもので、親会社と子会社がドイツ国内で事業活動行い、子会社が財務的、経済的及び組織的に親会社に編入され、さらに、親子会社の間に5年間の利益供与契約が締結されていることを要件として、子会社の損益を親会社に移転させ、親会社側で損益合算をして、親会社が納税の義務を負うというドイツ方式の連結納税制度である。
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