研究課題/領域番号 |
07630123
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山地 秀俊 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (40127410)
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研究分担者 |
高須 教夫 近畿大学, 商経学部, 教授 (70148732)
中野 常男 神戸大学, 経営学部, 教授 (60093522)
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キーワード | イメージ / 写真 / 巨大企業 / 連結 / パブリックリレーションズ / 図像 / 情報公開 / 宥和化 |
研究概要 |
画像が描かれた状況を理解し、その図像の文字通りの意味以外の隠された政治的・時代的意味を読み解くという研究を、アメリカの今世紀初頭の企業が公表する発行物に記載された写真情報に対して行った。まず写真情報公開各主体がどのような目的で公開したのか、また写真情報公開を制度化することの意義はどこにあるのかといった問題を検討した。いうまでもなく、こうした研究は、筆者がこれまでに行ってきた会計情報公開の研究の延長線上に位置づけられうる類の研究である。すなわち、20世紀に入って、アメリカの企業はいち早く、企業と社会あるいは企業内部の宥和化戦略のために、写真情報を利用し始めた。具体的には巨大独占企業の発行する各種パンフレットや広告あるいはアニュアル・レポートに文字や数値(会計)情報に加えて積極的に写真情報を掲載・公開し、巨大企業の社会的イメージを変革し、企業内部の各種階層の企業に対する忠誠心を形成しつつ、社会的・組織的宥和化を行ったのである。やがては、連邦政府も対農民対策に、特に農民の植民政策に積極的に写真情報を利用し、政治的政策の正当化を行った。こうした政府のイメージ戦略はやがて、戦争における敵国の兵士の厭世的感情の創出政策にも利用されるようになる。 こうしたアメリカにおける写真情報公開戦略は、巨大企業や政府の一般的情報公開政策動向の一環として理解でき、したがって、20世紀巨大企業の会計情報公開戦略も、単に証券市場関係だけで把握されるべきでなく、一般情報公開動向の一環として同様に捉えられる必要がある。
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