研究概要 |
課題の逆分岐問題は、境界値問題の解のデータから非線形項を定める逆問題の1つである。研究者は今まで上記問題が線形化を通してみればAbel型積分方程式を解くことに帰着されることに着目して適当な関数空間の設定のもとに陰関数定理を用いる方法によりこの逆問題を調べてきた。一方同種の問題の1つとして与えられたa(λ),b(λ)に対し(過剰決定系)境界値問題 【.encircled*.】 u_<xx>(x,λ)=λf'(u(x,λ)),0【less than or equal】x【less than or equ u(0,λ)=1,u_x(0,λ)=a(λ),u(1,λ)=b(λ) が各λ∈[0,∧]に対し解u(x,λ)をもつように非線形項f(u)を定めよ.という問題がDenisov-Lorenziらによって研究されてきた。研究者はこの問題に上述の陰関数定理を用いる方法を適用することにより次の結果を得た. 定理 a(λ),b(λ)∈C^2[0,∧_0]がa(0)=0,b(0)=1,a'(λ)>0,b'(λ)>0 (λ∈[0,∧_0]),s'(0)<b'(0)をみたすならば,区間[0,∧](0<^∃∧s∧_0)の任意のλに対し*が解u(x,λ)をもつようなf∈C^1[1,b(∧)]でf(1)=0,f(u)>0(u>1)をみたすものがただ1つ存在する。 この結果はDenisov-Lorenziの問題に対する(局所的な意味では)最終的な結果であり,今まで開発してきた手法の強力さが裏付けられた。また,その手法を通してみることにより,逆分岐問題とDenisov-Lorenziの問題との関係が明確になった。
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