研究分担者 |
白石 高章 横浜市立大学, 理学部, 助教授 (50143160)
栄 伸一郎 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 助教授 (30201362)
森 俊夫 横浜市立大学, 理学部, 教授 (40046008)
大阿久 俊則 横浜市立大学, 理学部, 助教授 (60152039)
市田 良輔 横浜市立大学, 理学部, 助教授 (10094294)
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研究概要 |
必ずしもコンパクトでない量子群を扱うための新しいカテゴリーとして、Woronowicz環なる概念が定義され、すでに、局所コンパクト群の場合と同じような双対性が示されている。この多元環はKac環に変形自己同型と呼ばれる1径数自己同型群を与えた形に定式化されており、変形が自明になると、元のKac環に戻る仕組みになっている。つぎに、概知の量子群のうち、このカテゴリーに適合するものを問題にし、量子群SU_q(n),n【greater than or equal】2がこのカテゴリーに属することを示した。この結果から、一般のコンパクトな量子群もこのカテゴリーで論じられることが推測される。つぎには、必ずしもコンパクトでない場合の例として量子ローレンツ群を考えてみた。Lie環sl(2,C)はLie環su(2)の複素化と同一視できるので、量子Lorentz群SL_q(2,C)を量子群SU_q(2)のQuantum doubleとして考えることができる。この量子群に対してはDrinfeldや神保によるHopf環としての捉え方と、Podles-WoronowiczによるHopf^*環としての捉え方とがあるが、ここでは後者の考え方を借用した。その結果、一般のコンパクト量子群に対しても、このQunatum doubleの方法が適用でき、その特殊な場合として量子ローレンツ群が捉えられることが判明した。 また、量子包絡環U_q(sl(n,C))のHopf^*環としての定義を与える基本関係式をWoronowicz環の構造を用いて求めたところ、きわめて自然な構造をもつことが判明した。さらに、上のWoronowicz環の双対とこれら包絡環の間には自然な関係があるはずであるから、その対応関係を調べておく必要がある。そのためには、A_q(SU(n))とL_q^∞(SU(n))、U_q(su(n))とL_q^∞(SU(n))^、A_q(SL(n,C))とL_q^∞(SL(n,C))の対応関係を調べてから、最後にU_q(sl(n,C))とL_q^∞(SL(n,C))^の関係を調べなければならない。前の3組みに関しては一応自然な対応関係を得ることができたが、最後の関係に関してはまだ決着がついていない。 また、量子群の位相群的な性質を研究するためには、量子群をC^*環の枠組みで定式化できると好都合である。そこで、上記のWoronowicz環を弱閉包としてもつようなC^*環の枠組みの定式化を試みている。技術的に難しい問題は沢山あったが、ほぼ解決の見通しが得られるようになってきている。つぎには、この枠組みに納まる、量子群の例を検討する問題が残っている。
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