研究概要 |
発散形式解の理論を構成し、数論と関係する超越的現象や,トーラス上の作用素の滑らかさに関して,数論的現象を明らかにした。さらに、KAM理論特に、ハミルトンベクトル場の標準形への帰着と数論的現象の関係を調べた。具体的には次の結果が得られた。今後の展開についてはToeplitz作用素の理論を非線型方程式にまで広げ,ベクトル場の標準形と数論的な現象の関係を調べることはイタリア、イギリスのグループとの共同研究中である。 1.常微分方程式系の解析関数の族あるいは形式的Gevrey空間における指数公式をToeplitz symbolの積分を用いて与えた。証明はすでに知られている結果の証明とは本質的に異なる別証明になっている。 2.Kashiwara-Kawai-Sjostrandの研究した確定型の作用素に対するすべての形式解が収束するための十分条件に対応して、これよりも収束を考える点での退化次数と微分の関係を弱めたクラスの作用素にたいし、Toeplitz symbolを用いて、Fredholm性の必要十分条件を与えた。これはすべての形式解が収束するための必要あるいは十分条件を与える。 3.退化放物型作用素はanalytic hypoellipticでなく、またC^∞hypoellipticであったり、なかったりする。この時、hypoellipticとなる丁度境目のGevrey指数(=critical Gevrey index)を決定した。Newton図形と漸近解の方法およびparametrixのwave front setを評価することにより結果が得られる。 4.可換なベクトル場の系にたいし、それらが同時に座標変換によって標準形になるための十分条件をhighloss derivativesの陰関数定理を証明することによってあたえた。また、可換なdiffeomorphismsの系にたいし、それらが同時に座標変換によって標準形になるための十分条件をhomology方程式をとくことによって与えた。 5.トーラス上の偏微分作用素の大域的準楕円性あるいは可解性の必要十分条件をWKB解析を用いて与えた。small denominatorの問題あるいは領域の各点で楕円型、双曲型などのように方程式の型が変化する作用素の大域的準楕円性を記述できる。
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