研究概要 |
ナヴィエ・ストークス方程式の解位の時刻t→∞のときの漸近挙動,すなわち解の有界性,同期解の存在などを研究した。そのためのモデルとして,反応・拡散系,関数方程式を扱った。それぞれの方程式に対して,同期解の存在,解の有界性を考察した。反応・拡散系についていえば,次の通りである。ボルテラとロット力が生態系の個体数の変化を記述する方程式を1930年代提唱し,今日ロット力・ヴォルテラ型の微分方程式系といわれて,最も基本的なこの方面の式である。これを空間的偏在を考慮して,1980年代偏微分方程式系として扱うようになり,今日反応・拡散系といわれるようになって研究が活発になされている。自然のサイクルを記述するのに,この反応拡散系の周期解の存在を示すことが極めて大切である。今年度この反応・拡散系の周期解の存在を示すことに成功した。この手法で,ナヴィエ・ストークス方程式の解の周期性の研究を来年度すすめたい。さらに,今年度生物が3種,4種の場合を扱ったが,一般のm種の場合の研究も来年度すすめたい。さらに,遅れをもつ関数方程式の解の有界性も示すことができた。
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