研究課題
離散数学、特に、グラフ理論に関する研究が活発に行われた。たとえば、グラフの頂点集合の分割問題としては、k-連結グラフは大きさを指定したk個の連結部分グラフに分割できるという結果が有名であるが、連結度を最小次数におきかえた問題、すなわち、最小次数がk以上の連結グラフは大きさを指定したk個の部分グラフで最小次数が1以上のものに分割できるという予想を肯定的に解決した。さらに、最小次数が3k-2以上ならば、各部分グラフが含むべき点を1点ずつ指定しても孤立点を含まないように分割できということを証明した。また、独立な2点の次数和が頂点数以上ならばハミルトン閉路が存在するという有名な結果を拡張して、独立な3点の次数和が頂点数以上ならば2つの閉路で頂点集合を覆うことができるということを示した。さらに、連結グラフの独立な3点の次数和が頂点数以上であれば、最長閉路の長さが最長通路の長さ-1以上になることを示した。グラフの自動描画に関しても進展があった。グラフの頂点間に適当な力を働かせると、安定状態では構造がよくわかるレイアウトが得られる。頂点と辺の間にも力を働かせることにより頂点が無関係な辺の近くにいかないようになった。また、力を定義する関数と最終状態数の関係もわかってきて、頂点間の距離が小さいとき、あまり大きな力を加えないほうが最終状態数が多くならないことがわかった。一方、グラフ距離が2の時は比較的大きな反発力を与えたほうが美しいレイアウトが得られることもわかった。また、整数から成る集合を和が指定した値になるように分割するという問題も研究された。とくに、1から2n-1までの奇数の集合を和が偶数で一定の値となるように分割できるための必要十分条件が得られた。
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