太陽フレア-時に解放される磁気エネルギーがどのような機構でプラズマの加熱や、高エネルギー粒子加速に変換されるかは、宇宙プラズマ物理学の重要な未解決の問題である。 “ようこう"科学衛星で発見された新しいフレア(増田フレアと呼ばれる)は、軟X線で光るループ構造と、そのループの頂上付近の上空に明らかに、ループと異なる領域で、硬x線源をもつフレアである。このフレアは、増田等により電流ループとプラズモイド(プラズマ雲)の衝突によって発生したと考えるモデルが提案された。 (1)我々は、このフレアで観測されているX線源を説明するために3次元MHDコードと3次元粒子コードを用いてプラズマ雲と電流ループの衝突過程を調べ、プラズマ加熱機構、及、高エネルギー電子の加速機構を明らかにした。 (2)3次元MHDコードを用いたシミュレーションにより電流ループのX型合体過程が調べられ、1993年8月2日に発生したX型太陽フレアとの比較がなされ、温度上昇などをシミュレーションによる結果でよく説明できることが明らかにされた。 (3)太陽彩層のような弱電離プラズマでの磁気再結合では中性粒子に再結合する過程が重要になり、この効果がMHDシミュレーションによって調べられ、磁気再結合が増大しプラズマ加熱に大きな影響を与えることが示された。 (4)又、弱電離プラズマでの非線形アルフェン波の振る舞いが調べられ、アルフェン波が変調不安定を引き起こしその非線形過程でプラズマの局所的加熱が起こることが明らかになり、太陽彩層の加熱に応用された。
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