研究概要 |
ディスク銀河とは角運動量を多く持った原子銀河雲から遠心力によってガスのディスクが形成され、その中で星形成と円盤の力学的な進化が進んで現在の渦巻銀河が形成された、と考えられている。その進化の歴史をトレースする量としてディスクの厚みや構成する星の種類、星やガスの金属量等の動径変化が重要な鍵を握っている。ディスクは銀河進化のかなり早い段階で形成されたと考えられており、現在ではその過程を直接見ることは不可能と思われてきた。 しかし,ポーラー・リング銀河は他の銀河からアクリートして来たガスが今まさにディスクを形成しつつある銀河であることが近年明らかになってきた。このプロセスは銀河形成時の銀河ディスクの形成過程と多くの点で類似しており、従ってポーラー・リング銀河は円盤銀河形成時のプロセスを解明するに極めて有意義なターゲットであると位置づけることが出来る。この新しい視点から観測計画を策定した。 若松は1983年、プロトタイプのポーラー・リング銀河UGC7576を発見し、パロマ-200インチ鏡で分光観測してその成因を考察し、1994年にはリングの衝撃波説を提案した。今回、NGC660、2685等の銀河のCCD撮像観測、分光観測を行い、現在データを解析中である。また、Nuclear Ringを持つ銀河NGC7742についてハッブル宇宙望遠鏡のデータを解析し、中心部に棒構造がないにもかかわらず、リングを持つ極めて特異な例であり、円盤のポテンシャルの僅か数パーセントの歪みだけでリングが生じ得る例である事を明らかにした。
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