本研究の目的は、天空に散らばる数多くの赤外線点源の起源を探究することである。これらの赤外線点源は、遠赤外スペクトルの特徴から原始星(誕生しつつある星)であることが予想される天体である。しかしこれらの赤外線点源の周囲からは星の母体となるガスが検出されておらず、その起源は今だに未知のままである。本研究では、これらの赤外線点源の起源を探るための観測を、可視光からミリ波に至る広い波長帯で行うことを計画している。平成7年度は、主にミリ波帯(CO、J=1-0遷移)での観測と、データ解析用の計算機・ソフトウェアの整備に重点を置いた。当初の計画通り、富士通ワークステーションS-4/5(モデル85)を大阪府立大学に導入し、平成7年9月末頃までに主な整備を完了した。また、国立天文台野辺山宇宙電波観測所の45メートル電波望遠鏡を用いた予備観測を同年4月頃行い、平成8年1月に同望遠鏡による本観測を行った。この観測では、へび遣座からオリオン座に至る銀河面の広い領域に置いて、約200個の孤立した赤外線点源に関する質の高いデータを得ることが出来た。目下、この観測で得られたデータを解析中である(平成8年2月現在)。平成8年度は、主に赤外領域および可視光による研究に重点を置く予定である。遠赤外での観測に関しては、すでに欧州宇宙機構の赤外宇宙天文衛星(ISO)によるマシーンタイムを確保している。この衛星により、孤立した赤外線点源十数個に対する波長〜200ミクロンのデータを平成8年度中に取得できる見込みである。また近赤外(波長〜3ミクロン)に関しては、ハワイ・マウナケア山頂のCFHT望遠鏡による観測を現在計画している。可視光に関するデータは、まずパロマ・スカイ・サーベイによって提供されたデータを詳細に検討し、必要に応じて各国の観測所(日本の木曽観測所を含む)に観測プロポーザルを提出する予定である。
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