研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、北天で観測できる距離の最も近い大型銀河であるアンドロメダ銀河の、これまで星間吸収等により見えなかった星形成領域の細部構造を赤外線観測により明らかにし、銀河規模での星形成の物理過程を観測的に明らかにすることである。前年度には、ハワイ大学の2.2m望遠鏡を用いて、アンドロメダ銀河内の星形成領域を内包する数フィールドを、分解能が0.2秒角にも達する高解像度で、波長1.25μm(Jバンド)、1.65μm(Hバンド)、2.20μm(Kバンド)において、限界等級の深い撮像観測を行った。今年度は主として、このデータの詳細解析・解釈を進めるとともに、補助的なデータを同じ望遠鏡を用いて取得した。上記の高解像度撮像データから、従来の可視および赤外線観測では全く観測されていない赤外線源を多数検出し、その個々の赤外線源の測光を、ポイントスプレッドファンクションを考慮した精密測光を行った。この観測の解像度は同領域に対する従来のどの波長に比べても高いために、これまでの観測との比較が困難であり、精密な赤外線の測光を行うことが、これらの天体の解釈のために重要である。我々のデータから求めた各天体の、赤外線におけるカラー及び明るさから、これらの天体の多くはアンドロメダ銀河中の晩期型の巨星であると考えられる。しかし、それとは異なった、アンドロメダ銀河の星形成領域の分子雲に深く埋もれた若い星のクラスターと考えられる天体も存在するようである。これらの微光赤外線天体は、現在建設中の大型望遠鏡を用いた分光観測の重要な観測対象となるだろう。
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