温度ゆらぎ測定装置と光学シ-イングモニタの製作と測定を行った。温度ゆらぎ測定装置は、今まで使用していたものと比べて約3倍感度が高いことが確認された。これは温度プローブ間の抵抗のばらつきを少なくできたことと、アンプ部を低雑音化したためである。光学シ-イングモニタは、50cm離れた2本の望遠鏡で観測される星像の重心ゆらぎの相関をはかるdifferential image motion monitor(DIMM)を2機製作した。これらの装置と国立天文台の赤外シミュレータ望遠鏡に取り付けた補償光学系とで、同時に観測を行い、ドームの内と外とのシ-イングの差や、補償光学系の性能評価の基礎データをとり、局所的な大気ゆらぎとシ-イングとの関係を考察した。また、木曽観測所、堂平観測所でもドーム外でシ-イング測定を行い、ドーム内の望遠鏡で観測されたシ-イングと比較し、ドーム+ミラーシ-イングの影響を明らかにした。 また本研究は、天体観測のためのシ-イング改善を目的としているが、その一貫として過去のシ-イングデータを利用して、シ-イング良い時にのみシャッタを開ける観測をした場合のシ-イング向上と必要な観測時間を見積もった。その結果、例えばハワイでシ-イングサイズを15%改善するためには約5倍観測時間をかければ良いことがわかった。シャッタスピードは10msec程度で良く、シ-イングモニタの情報と連動させれば、実現可能である。この観測方法はまだどこでも行われていないが、高空間分解能が要求される観測では非常に有効な手段であることがわかった。
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