研究概要 |
1 静止Ξ^-反応はダブル・ハイパー核を生成する最も有効な方法として重要である。そこで、反対称化分子動力学(AMD)に量子揺らぎを取り入れた模型(AMD-QL)により、^<12>Cを標的核として静止Ξ^-反応について研究し、動的なツイン・ハイパー核生成には揺らぎの効果が非常に大きいことを示した。しかし、ツイン・ハイパー核生成に対する揺らぎの重要性が分かったが現在ところ、」実験から予想されるダブル(3〜10%)、ツイン(6〜20%)ハイパー核の生成確率を定量的に再現することができていない。 2 ストレンジネスを含むハドロン間の相互作用の中で、K^-Nの相互作用は最も基本的なもののひとつであり、Λ(1405)共鳴が重要な役割を果たしていると考えられている。そこで、このΛ(1405)の質量変化は、K^-p→Σπの分岐比も変化することに着目して、シミュレーションの方法でπスペクトルを求めた。その結果、Λ(1405)の質量変化は、K^-p→Σ^±π^<【minus-plus】>の分岐比を核内で大きく変えるため、(K^-,π^+)スペクトルで見られている多くのΣ^+をよりよく説明できることが分かった。 3 シグマ粒子を含む原子核における“束縛状態の存否"の問題を解決するために、ブルックヘブン国立研究所で^4He(飛翔K^-,π^<【minus-plus】>)反応実験が行われ、^4_ΣHeの束縛状態の存在が実験的に確証されるに至った。そこで、3N-Y(=[3N-Λ]+[3N-Σ])結合模型を用いて、歪曲並インパルス近似の範囲で^4He(飛翔K^-,π^<【minus-plus】>)反応スペクトルを求め、現象論的立場から理論的解析を行った。また、相対論的平均場近似を用いて、中性子過剰領域におけるΣ,Ξハイパー核の構造を研究し、その束縛エネルギーや幅を求めた。また、ポテンシャルの特徴がどのように変化するのかを系統的に調べた。
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