1.高励起、高角運動量状態の原子核の性質を調べるため、理化学研究所のリングサイクロトロンを用いて行われた実験の解析が進行した。具体的には、入射エネルギー30及び37MeV/nuclenの^<116>Sn+^<40>Ar反応で測定された、中性子、陽子、α粒子のスペクトルの解析の結果、融合核の励起エネルギーに変換されるエネルギーは従来のmassive transfer modelから予想される値の約60%程度に過ぎないことが判明した。このことは、高温核の巨大共鳴を議論する際に考慮されなければならない。 2.高温核の巨大共鳴に対する核温度と角運動量の効果を分離するため、入射エネルギー7MeV/nuclenの^<92>Mo+^<40>Ar反応からのγ線の測定が行われ、原子核のthermal energy 130MeV領域での巨大共鳴の見かけ上の幅が求められた。求められた見かけ上の幅は温度と共に増加しており、このエネルギー領域では融合核に持ち込まれる角運動量は飽和していることから、幅の増加は温度の増加に起因すると結論された。 3.高角運動量状態の巨大共鳴探索のため核分裂片との同時計測により、γ線の測定の予備実験が行われ、現在、そのデータ解析が進行している。
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