研究概要 |
本研究は^<24>Mg+^<24>Mgなどの重イオン散乱に見られる高スピンで幅の狭い共鳴を対象にして,その共鳴状態における二原子核の運動の動力学的解法と分子的構造の解明を目指すものである. この共鳴では,強い遠心力の効果のために二原子核は離れて融合しきらず,それでもなお,核間相互作用によって結合を保つような幾何学的配位が支配的になると予想される.この描像は,^<12>C+^<12>C^<12>C+^<16>O共鳴などで明らかに成ったdouble resonance mechanismと著しく異なっているが,^<24>Mg核や^<28>Si核の基底回転帯のメンバーの小さい励起エネルギーは数多くの二原子核配位が同時に競合する事を可能にしていて,そのためにこの様な準安定な幾何学的配位が実現すると思われる.我々は,強結合的描像の新しい分子的模型を提案し,これらの共鳴における二原子核の動力学と共鳴機構の解明を進めてきた. この模型では,単に安定な配位をエネルギー的に探るだけでなく,安定点の回りでの構成核の振動や捻れ的回転運動など,様々な励起モードを求めることができる.sd核間衝突の共鳴では準位密度が高いことが知られているが,これらの励起モードの存在が多くの共鳴状態と良く対応した結果を与える事が^<24>Mg+^<24>Mg系で示された.また,^<24>Mg+^<24>Mg共鳴状態の構造は,強くprolate変形した二つの^<24>Mg核が同一軸上に長くつながって並んだ形をしており,最近中重核領域で注目されている超変形の一種と考えられるので大変に興味深い. 平成7年度に於いては,^<24>Mg+^<24>Mg系の崩壊幅,及びスピンアラインメントの分析を目的としてR‐matrix理論について適用可能性を検討した.さらに,複合核間相互作用を改良して,共鳴エネルギーについての予言が可能となった.8年度には^<20>Ne+^<20>Ne,^<20>Ne+^<24>Mg系へ分子的模型を系統的に適用して分子的共鳴の出現可能性を探る予定である.
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