研究概要 |
本研究は、^<24>Mg+^<24>Mgなどの比較的重い重イオン衝突で観測される幅の狭い高励起、高スピン共鳴状態の構造と反応機構について、二原子核分子の形成とそれに伴う振動モード励起を考える立場から動力学的に解明しようとするものである。部分崩壊幅と相互励起チャンネルのスピン整列に関するデータの特徴を分子的模型によって再現できるかを確かめる為に反応の動力学の研究を進め、以下の項目1と2が明らかになった。一方、最近ストラスブールで実施された^<28>Si+^<28>Si系の「粒子-粒子-ガンマ線相関実験」の結果はスピン反整列を示し、従来の常識を覆すものとなった。このデータを参考に^<28>Si+^<28>Si系を研究して項目1と3を解明した。 1. バタフライモードの励起状態では構成核の接触部がコヒーレントに動くので振動運動からもたらされるスピンベクトルの向きが互いに逆になり、その和はゼロになる。逆に、アンチバタフライモードではスピンベクトルの向きが揃う。すなわち、より低いエネルギーで現れるバタフライモードによって、^<28>Si+^<28>Si系のフラグメント^<28>Siの角分布に見られるスピン反整列を説明できる。 2. ^<24>Mg+^<24>Mg系では、項目1に述べた特徴が2^+_1への相互励起では現れない。フラグメントに配分される角運動量が大きい為に、むしろ(4^+,2^+)チャンネルで特徴が現れる。この傾向は核間相互作用の強さなど動力学的効果によって定まる。 3. ^<28>Si+^<28>Si系では、超高スピンでは慣性モーメントが最大となる軸の回りに全体が回転する事(ティルチングモードの存在)が判った。パンケーキ型変形している^<28>Si核はその端同士で接触し、平らな面が反応面に平行な形態で非軸対称な安定配位を取ると考えられる。この時、^<28>Siのスピンベクトルは反応平面上にあるので、"m=0"成分が強いと言う特徴を示し、ガンマ線角分布のデータを良く再現する。
|