研究概要 |
(1)超対称代数の拡張の一つの方向として分数超対称代数がある。量子力学的な分数超対称粒子模型において,分数超対称性が,通常の超対称粒子模型の場合と同様に,動力学的に自発的破れを起こし得ることを示した。 (2)格子正則化において,2次元SU(2)Wess-Zumino項に対する真空重複公式を調べ,以下のことを示した。摂動論的には,この真空重複公式が,連続極限において正しくWess-Zumino項を再現し,カイラル模型のベータ関数に赤外固定点を与え得ること。非摂動論的には,この真空重複公式が,スケーリング領域において,カイラル場配置に対して鋭いガウス的分布を示すこと。交差は,Wess-Zumino項が強く揺らぎ,種ダブラ-の寄与が影響をおよぼすと思われる強結合領域から鋭くなること。 (3)LandauゲージおよびLaplacianゲージの場配置を持つ真空重複公式により,カイラル行列式の複素位相を計算し,次のことを示した。真空重複公式によって定義された複素位相はGribovコピーに伴う特異的ゲージ関数に非常に敏感であり,Landauゲージにゲージ固定されたゲージ帯上では位相を一意的に決めることは困難であること。これに対して,Laplacianゲージ固定においては,ゲージ揺らぎが完全に消失し一意的に位相を与えること。従って,Laplacianの方法によりLandauゲージ固定に対して予め条件付けすることが実用上有用であること。
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