グザイ・ハイパー核は、ストレンジネス-2における重粒子間相互作用について貴重な情を与えてくれる。そのハイパー核の生成・構造・崩壊について、以下のことを検討した。 クザイ粒子を原子軌道に止め脱励起させてグザイ・ハイパー核をつくる過程をヘリウム4の場合について詳細に分析した。エキゾチック原子の脱励起を計算するプログラムを完成させ、グザイ粒子がどの原子軌道からどれだけの割合で吸収されるかを求めた。結果は、s軌道吸収が25%、p軌道吸収が73%となり、液体ターゲットで静止グザイ当たり約15%の高い割合でダブルハイパー核が生成される可能性があることがわかった。さらに、ある中性子過剰核を利用すると、90%以上の驚くべき割合でダブルハイパー核が生成されることを発見し公表した。 このようにして出来るストレンジネス-2の系は興味ある構造を持つことを示した。5体系では、ストレンジネス・ハロ-をもった狭い幅のグザイ核状態と、ほとんど純粋なダブルラムダ核状態が存在する。特にグザイ核状態については、転換幅を微視的に調べ、それが狭くなる機構を明らかにした。 ハイパー核の崩壊は、生成核の同定に役立つ。そこで軽い核のパイオン弱崩壊を詳細に調べた。その結果、軽い核ではハイペロンと核間のポテンシャルに中心斥力が存在する証拠を初めて得た。また、ダブルハイパー核の同定にパイオン弱崩壊が有効な手段であることを確認した。
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