大気ニュートリノ中のミューニュートリノ成分の観測値が予想の60%であり、ニュートリノ振動の可能性が考えられている。 本年度は主に大気ニュートリノのフラックス及びニュートリノ反応の断面積の評価をおこなった。この評価を精密に行うことにより、岩盤中の大気ニュートリノ反応で生成されるミュー粒子のうち、カミオカンデ測定器中で止まる割とエネルギーの低いものと、突き抜けていくものとの比をとり、ニュートリノ振動の有無を検定することが可能である。現在この線で研究を進めている。予備的結果では、有意性は弱いものの、この解析方法でもニュートリノ振動を支持する結果を得た。 また、すでに発表されていた、電子ニュートリノとミューニュートリノの比の異常(ミューニュートリノが少ない)について、データ中の電子ニュートリノ事象が中性子起源のバックグラウンドである可能性の指摘があったので、この点についても詳細に検討し、バックグラウンドは約2%以下で無視できるという予備的結果を得た。
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