分数統計粒子を記述するCalogero Sutherland modelは、乱れた系の統計モデルである行列模型と密接なつながりがあることが知られている。行列モデルには、乱れた系の対称性によって3種類のモデルが知られているが、それぞれCalogero Sutherland modelの特別な相互作用係数の場合に対応している。 今年度はこの行列模型について主に調べた。 乱れた系には、universal fluctuationとよばれる揺らぎの普遍性があり乱れた系にもある種の秩序があることが知られているが、本当にどこまでこの普遍性が成立するのかはっきりしない。 対応する行列模型でも、行列の固有値の相関関数に普遍性があることが議論されてきた。すなわち固有値の相関関数は行列模型を定義するポテンシャルにはよらず普遍的な関数で表される。本研究で、このポテンシャルを今までより一般化してどこまで普遍性が保たれるのかを調べてみた。 その結果、今まで余り考慮されてこなかった形のポテンシャルをいれると強い意味の普遍性がこわれ、相関関数がポテンシャルの詳細に依存することがわかった。ただし別な意味の弱い普遍性は残っている。 このことが、乱れた系の揺らぎの普遍性にどのような効果を及ぼすのかはまだ検討中である。\\ これとは別に、高次元の非相対論的フェルミオンのボソン化についても研究を進めた。(2+1)次元の相互作用しているフェルミ系をボソンの二次形式で表すことには成功したが、このボソンは複雑な交換関係をもつ非局所的な場で、その解析を実行中である。
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