研究課題/領域番号 |
07640397
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤原 義和 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70199397)
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研究分担者 |
鈴木 宣之 新潟大学, 理学部, 教授 (70018670)
今井 憲一 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70025493)
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キーワード | クォーク模型 / ハイペロン核子相互作用 / ストレィンジネス / 共鳴群模型 |
研究概要 |
本年度は、昨年度に得られたクォーク間の中間子交換ポテンシャルを完全に微視的に計算した模型FSS、および、その改良型であるRGM-Hの論文発表を行うと同時に、これらの模型の持つ特徴を整理し、正しい模型の選択のために将来どの様な実験データが必要であるかを考察した。具体的には、まず、KEKでの実験の解析から中間エネルギー領域(400〜600MeV/c領域)におけるΣ^+p微分散乱断面積の新しいデータがはじめて得られ、我々のクォーク模型を含むこれまでの理論計算との比較検討が行われた。残念ながら、実験データの統計性が悪く、今のところ特定の模型を選択する段階まで達していないが、クォーク模型の予言と矛盾しない結果が得られている。次に、Λp散乱の^3S_1状態と^1S_0状態の位相差について、その相対的な引力の強さを決定することの必要性が明らかになった。これらは、特に、軽いΛ-hyper核の励起機構と密接に関係しており、^3_ΛH、^3_ΛHe、^4_ΛH、^4_ΛHe、^5_ΛHe等の低いエネルギー準位の系統的解明が重要であることが分かった。これらのハイパー核を我々のクォーク模型ポテンシャルを用いて検討することはこれからの課題であるが、上記の位相差を再現する簡単なポテンシャルを用いての^3_ΛHの計算は、未だpreliminaryな結果ではあるが既に得られており、1MeV近くoverboundする事がわかった。このことは、FSSやRGM-Hの^3S_1状態の引力が^1S_0状態に比べて大きく引力的過ぎるかもしれないとの可能性を示している。KEKでのE289実験が終了した事により、Λp散乱断面積等の新しいデータが来年度中に出されると期待されるので、引き続きハイパー核の構造とハイペロン-核子相互作用の接点を探っていく予定である。S=-2の系については、RGM-FによるH-粒子の結合エネルギー(約20MeV)とΞ^-p散乱断面積(p_Ξ=500MeV/cで28mb)が求められた。
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