正確に解ける場の量子論と素粒子物理学

1996 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07640403
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 糸山 浩 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30243158)
• キーワード: integrable system / super-Wilson loop / 超対称性 / loop equation / Schwinger-Dyson equation / D-brane / tadpole / orientifold

研究概要

平成7年度(1995)は素粒子論にとって激動の年であり、本年度(平成8年度)もそれを受け研究代表者も少なからず影響を受けた。
当初の可解模型中心の研究から、ひもの統一理論、超対称ゲージ理論、それと関連する厳密解に関する研究に重点を移して、研究を行い、いくつかの成果を挙げることができた。
前年度A.Morozovと共に行った超対称ゲージ理論の低エネルギー作用に対する厳密解と可解粒子系との対応に関する仕事(2つの論文にまとめられている)に触発されて、より基本的なSchwinger-Dyson方程式からの考察が問題になってきた。大学院生の高篠と協力して、超空間上でのWilson-loopを基本変数とする美しい方程式を導出することができた。この結果は2つの論文にまとめられている。量子化された超対称性ゲージ理論の力学はこの方程式で尽きている。この研究はSeiberg-Wittenの厳密解との関係、ひもの相互作用とからめて、多くのimplicationを持っていくであろう。
今年度始めたもう1つの研究は、D-braneが作り出すtadpoleと安定な真空の問題である。1986年に研究代表者が行ったTypeIひもの理論における無限大の相殺とからめて、これらの事柄の間の相関関係を最も簡単なD-braneの模型であるところのTypeI'において明らかにしこれを論文としてまとめた。
この研究はさらに複雑な模型(T_2,K_3でのコンパクト化)において考察中である。その他にも超対称性ゲージ理論のcontact interactionに関する論文を作った。

研究成果

• [文献書誌] M.Anazawa et al.: "Macroscopic n-loop amplitude for minimal models coupled to two-dimensional gravity. Fusion rules and interactions" Nuclear Physics B. 471. 334-360 (1996)
• [文献書誌] H.Itoyama et al.: "Schwinger-Dyson and large N_c loop equation for supersymmetric Yang-Mills theory" Physics Letters B. 381. 163-168 (1996)
• [文献書誌] H.Itoyama et al.: "Integrability and Seiberg-Witten theory Curves and periods" Nuclear Physics B. 477. 855-877 (1996)
• [文献書誌] Y.Arakane et al.: "Infinity Cancellation,Type I'Compactification and String S-Matrix Functional" Nuclear Physics B. 486 No.1,2. 149-163 (1997)
• [文献書誌] N.Fumita et al.: "Motions of the String Solutions in the XXZ Spin Chain Under a Varying Twist" International Journal of Modern Physics A. Vol.12,No.4. 801-838 (1997)
• [文献書誌] H.Itoyama et al.: "PREPOTENTIAL and the SEIBERG-WITTEN THEORY" Nuclear Physics B. 487(No.3[PM]). (1997)
• [文献書誌] H.Itoyama et al.: "World Scientific" FRONTIERS IN QUANTUM FIELD THEORY, 422 (1996)