研究概要 |
平成7年度(1995)及び平成8年度(1996)は素粒子論にとって激動の年であり、研究代表者の研究も少なからず影響を受けた。 当初の可解模型中心の研究から、ひもの統一理論、超対称ゲージ理論、それと関連するする厳密解に関する研究に重点を移して、研究を行い、いくつかの成果を挙げることができた。 I)平成7年度4〜5月は前年度末までにほぼ完成していた文田、大田(武)とのXXX spin chainにおけるtwist angleを変えた時のBethe ansatz方程式のrootの動きに関する論文を完成させるのに充てた。これも前年度から継続の穴沢、石川(温)とのmacroscopic loop振幅に関する研究は、6月に幸運にも3点振幅に関してfusion ruleを発見することができた。この構造を手がかりにして、さらにn点振幅に対するcrossing,及びcontact interactionを発見することができた。これらの成果は3つの論文にのべられている。夏ごろから超対称性ゲージ理論におけるSeiberg-Wittenの仕事と可解粒子系との関係に興味を持ちはじめ、11月12月とElliptic Calogers SystemとN=4→N=2超対称性Yang-Mills理論との関係をA. Morozovと共に調べ2つの論文という形でまとめた。 II)平成8年度はA. Morozovと共に行った超対称ゲージ理論の低エネルギー作用に対する厳密解と可解粒子系との対応に関する仕事(2つの論文にまとめられている)に触発されて、より基本的なSchwinger-Dyson方程式からの考察を行った。大学院生の高篠と協力して、超空間上でのWilson-loopを基本変数とする美しい方程式を導出することができた。この結果は2つの論文にまとめられている。量子化された超対称性ゲージ理論の力学はこの方程式で尽きている。この研究はSeiberg-Wittenの厳密解との関係、ひもの相互作用とからめて、多くのimplicationを持っていくであろう。今年度始めたもう1つの研究は、D-braneが作り出すtadpoleと安定な真空の問題である。1986年に研究代表者が行ったType Iひもの理論における無限大の相殺とからめて、これらの事柄の間の相関関係を最も簡単なD-braneの模型であるところのType I'において明らかにしこれを論文としてまとめた。この研究はさらに複雑な模型(T_2, K_3でのコンパクト化)において考察である。その他にも超対称性ゲージ理論のcontact interactionに関する論文を作った。
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