まず輻射補正に関する研究については、前年度から行っていた、ゲージボゾンの3点相互作用に対する新しい物理による量子補正に関する研究がPhysics Lettersに発表された(次ページの論文リストの1番目)。又、ゲージ階層性問題を高次元のYang-Mills理論を用いて解決する試みについては、議論を深め、Higgs粒子の質量の量子補正を大きく左右するコンパクト空間での境界条件が力学的に決定され得る事、又ゲージ対称性を保持しながら何故ゲージ場としてのHiggs場が質量を持ち得るかについてAharonov-Bohm効果との関連で議論し、現在最終結果をプレプリントにまとめている。 更に、新しい物理の直接的証拠となり得るμ→eγ崩壊を大統一理論において解析し、従来の超対称的SU(5)模型での計算の不備を指摘した。 稲見は更に、境界を持った可解模型を議論し、共形不変性や超対称性と境界条件との関係を具体的かつ詳細に議論した。
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