研究概要 |
1.昨年の研究で,中重核の8重極多フォノン状態の解析を目的としたダイソン型ボソン写像法の計算機プログラム(約40,000行のソースプログラム)を完成させた.本年は,このプログラムを^<146,148>Gdの8重極多フォノン励起状態の解析に応用し,精密解析の結果,中性子対モードと8重極粒子-空孔モードのcouplingが,^<148>Gdにおける8重極遷移のenhancementに本質的寄与をすることを明らかにした. 本成果は論文"Two-Octupole-Phonon States in ^<146,148>Gd by K.Takada and Y.R.Shimizu",Prog.Theor.Phys.95,No.6(1996)1121-1143に発表した. 2.プログラム開発の過程で"簡易型ハッシュ法"を考案し,これが巨大メモリーを必要とする大規模数値計算に極めて有用であることを発見し,この方法により従来大型計算機を用いても殆ど不可能であると思われた巨大数値計算を高速パソコンで可能とした.この事を,上記の研究成果の中で明らかにした. 3.上記のプログラムは粒子-空孔表示であるので,粒子数保存は厳密に成り立っているが,閉殻近傍の原子核にしか適用できないという適用範囲の狭さが欠点である.この欠点を解決し,閉殻から遠く離れた領域の核に応用できるよう,ダイソン型ボソン写像法の準粒子表示での計算機プログラムの開発を行って,基本的部分は完成したが,まだ実際の原子核に応用するに至っていない.今後の課題である.
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