粒子一回転模型に基づいて、集団回転運動に2準粒子が結合する系を計算機プログラムを作り上げた。反跳力及び有効相互作用は精確に取り扱えるようになっている。スプ-リアス状態は穀模型的に適正に除くことができる。 これを用いて変形核の磁気双極状態の研究を行った。2体力として表面デルタ相互作用、Schiffer-True型相互作用を用いた。3MeV近傍に現れる1^+状態群はこの理論の枠組みの中で非常によく説明できる。励起エネルギーは正しく記述できるしM1強度についても良い結果が得られた。これらの状態が集団的か否かについて激しい論争が行われてきたが、本研究はこれに答えを出すことが出来たと考える。それは変形ポテンシャルによって分岐したユニークパリティ軌道をしめるいくつかのK=1^+2準粒子配位によって作られる集団的状態であり、この集団性を作る相互作用は集団回転に伴う反跳力である。これらは軌道運動に伴うM1状態である。ここまでについては現在本論文を準備中である。 6MeV以上の励起エネルギー領域に現れるM1状態については決定的なstatementに至っていない。それらはスピンM1状態であり、理論計算の結果は有効相互作用のスピン依存性に強く左右される。ここの難しさは球形核におけるGamow-Teller状態及びM1状態の問題と共通している。研究は尚進行中である。 一つの成果は変形核では密度依存性を通じて有効相互作用が回転不変性を破るという認識に至ったことである。これは軌道運動に影響するからM1の行列要素に影響する。10余年来の懸案である変形した二重奇核回転バンドのシグネチャー逆転現象にこの新しい考え方を適用して良い結果を得た。この新たな認識を磁気双極状態の記述の枠組みに統合した更に研究を進展させたい。
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