(1)パリティー非保存の実験のための検出器系及び計測回路の整備 8台のシリコン半導体検出器を用いた測定を行うために、これらの検出器を散乱槽内でビーム軸のまわりに非常に精度良く対称に配置するための架台の制作を行う。また個々の検出器からの出力信号を処理しデータ収集系へ送るための検出回路系の整備を行った。 (2)縦偏極陽子ビームを用いたパリティー非保存の実験 筑波大学のタンデム加速器を用い、同位元素^<90>Zrからの縦偏極陽子ビームの弾性散乱の縦偏極分解能の測定を行った。陽子のエネルギー損失が250keVに相当する^<90>Zr厚いターゲット(8mg/cm^2)を用いることで、ビームエネルギーが5.9MeVにあるアイソバリックアナログ共鳴の周りの250keVの入射エネルギー範囲の縦偏極分解能の励起関数をビームの偏局の向きを変えたときの散乱粒子のエネルギースペクトルの形の違いから一度に測定するという手法を用いて実験を行った。5日間の連続測定によって約50のエネルギー点にわたって縦偏極分解能の統計精度〜5x10^<-4>を得ることができた。 (3)データ解析 ビームの縦偏極の向きを変えて測定した散乱粒子のエネルギースペクトルの形の違いから縦偏極分解能の励起関数を求めた。この際、各エネルギースペクトルをBreit-Wigner型の1粒子共鳴でフィットしたときの形の違いからアイソバリックアナログ共鳴での平均縦偏極分解能を求め、一方、フィットした曲線からのエネルギースペクトルのずれの部分から個々のエネルギー点における縦偏極分解能の動揺部を求めた。 解析結果については現在報告書に取りまとめ中である。
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