1 物理構造が妥当かどうかを、連続X線から異常散乱効果がもっとも期待できるエネルギーを選択し利用する、X線異常散乱法で検証できることを、AgBrを例に明らかにした。 2 α-AgI、β-Ag_3SIおよびα-RbAg_4I_5のいずれの場合も、散漫散乱に生ずる振動的な振る舞いの原因は、Ag-I間の熱振動における原子間の相関の効果であることが判明した。α-RbAg_4I_5におけるAg^+イオンとI^-イオンの各サイトからの関与については、特定のサイト間からの寄与が強いわけでなく、Ag-I、Ag-Agに関係するほぼすべての種類のサイト間の寄与の重ね合わせが、散漫散乱の振動的な部分を構成している。Ag_2Teについても、Ag-Te間の熱振動における相関効果が、振動的な散漫散乱を生じさせる原因となっていることがわかった。 3 振動的な散漫散乱の原因となる熱振動の相関の効果が、秩序構造をもつAgBrなどの超イオン導電体、および通常の(超イオン導電体でない)物質でも存在することを、X線回折実験、中性子回折実験により検証した。また、従来のリ-トベルト法で利用されるバックグラウンドの表現式を、熱振動の相関効果を取り入れた、新たな解析式で置き換えることにより、リ-トベルト法における信頼度因子の上昇が可能となることを見いだした。 4 アルカリハライド系ガラスのイオン伝導度の測定から、AgI系ガラスがもっとも大きな値を示し、次いでアルカリハライド系ガラスで、アルカリイオンのイオン半径が大きくなるとともに小さな伝導度の値となる。この傾向は、ガラスの構造ひずみを反映していると思われる。
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