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1996 年度 実績報告書

高圧下電子輸送現象測定による低次元伝導体の次元性の検討

研究課題

研究課題/領域番号 07640439
研究機関北陸先端科学技術大学院大学

研究代表者

小矢野 幹夫  北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (60195873)

キーワード低次元伝導体 / 結晶構造 / 次元性 / TiS_3 / η-Mo_4O_<11> / 電荷密度波 / 並進運動
研究概要

低次元伝導体における輸送係数(電気抵抗・ホール効果および熱電能)を測定する事により,電気伝導の次元性を検討する事を目的として,擬一次元半導体TiS_3と,電荷密度波の生成が知られている擬二次元伝導体η-Mo_4O_<11>について以下の点を明らかにした。
1.初年度に確立した条件を元に育成した擬一次元半導体TiS_3単結晶について,常圧でのバンド構造に関する情報を得るため,輸送係数の測定を行なった結果,以下の事実が明らかとなった。
(1)TiS_3は,電子を多数キャリアとするn-型の不純物半導体であり,室温ではキャリアは縮退している。
(2)不純物準位からの活性化エネルギーは80K以上で約75meV,それ以下の低温で30から40meVである。
2.擬二次元伝導体η-Mo_4O_<11>は,MoO_6の8面体とMoO_4の4面体が層状に積み重なった構造を持っている。この物質では,105K以下でもb-軸方向に電荷密度波が立つことが知られている。この物質の電荷密度波の動的挙動の次元性について,以下の事実が明らかとなった。
(1)77Kでb-軸方向に約20mV/cm以上の電場をかけると,電荷密度波が不純物や格子欠陥等によるピン止めを外して並進運動し,電気伝導に寄与し始める。
(2)bc-面内(2次元伝導面内)で電場の方向を変えても,電荷密度波はb-軸方向にしか並進運動しない。これは,電荷密度波の並進運動が,1次元的であることを示している。
(3)以上の結果は,電荷密度波の並進運動の次元性は,実空間における結晶構造(2次元的)よりも,結晶の対称性すなわちネスティングベクトルが単一かどうかで決定されることを示唆している。
今後,常圧におけるこれらの成果をさらに発展させ,低次元伝導体の電気伝導体の次元性に関する情報を明らかにしていきたい。

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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