研究概要 |
(1)光変調反射分光法によるミニバンド構造の研究 平成7年度補助金で購入したHe-Cd紫外レーザーを変調光源として、近赤外(900nm)から紫外(350nm)までの広い波長範囲にわたって、Γ点とミニブリルアンゾーン端における光学遷移の光変調反射信号を高精度に検出するシステムを構築した。(GaAs)_<10>/(AlAs)_m超格子(m=1,2,4,6原子層)を試料として、上記の測定システムを用いて系統的な測定を行い、極限層厚である1原子層のAlAs障壁層を有する超格子においても、ポテンシャル障壁下において、ミニバンド構造が存在するという結果を得た。また、1原子層AlAs層の超格子を含む全ての試料において、ミニバンド構造が有効質量近似によって説明できるという結果を得た。GaAs/AlAs超格子のポテンシャル障壁上ミニバンドに関しては、測定を試みているが、現在のところ明確な結果を得ていない。 電場変調反射分光法によるミニバンド状態の研究 p-n接合に埋め込まれた(GaAs)_m/(Al_xGa_<1-x>As)_n超格子[(m,n,x)=(24,12,0.1)]を試料として、電場変調反射信号の電場依存性に関する測定を詳細に行っている。この試料では、ポテンシャル障壁が非常に低いために(0.1eV程度)、障壁下から障壁上におけるミニバンド構造に由来する光学遷移が明確に観測できている。加えて、ミニバンド特異点におけるFranz-Keldysh振動を検出することができた。また、ミニバンド特異点の光学遷移エネルギーの電場依存性から、障壁上ミニバンド状態がワニエ・シュタルク局在状態に移行するという現象を見い出した。尚、Franz-Keldysh振動に関する解析は、今後の問題である。
|