研究概要 |
1.ミニバンド間遷移におけるFranz-Keldysh (FK)振動の検出とミニバンド有効質量: (GaAs)_<10>/ (AlAs)_m超格子(m=1, 2, 4, 6原子層)を試料として、光変調反射分光法を用いてミニバンド間光学遷移に関する系統的な測定を行い、(GaAs)_<10>/ (AlAs)_1超格子において、ミニバンド特異点(Γ点とミニブリルアンゾーン端π点)でのFK振動を検出した。FK振動の解析から、Γ点のミニバンド有効質量はバルクGaAsとほぼ等しく、π点ではΓ点の約1/3であるという結果が得られた。有効質量近似に基づいて計算したミニバンド分散関係の曲率から得られたミニバンド有効質量は、上記の実験結果とほぼ一致する。 2.ポテンシャル障壁上ミニバンド:(GaAs)_<10>/ (Al_<0.3>Ga_<0.7>As)_<10>超格子及び、(InAs)_1/ (GaAs)_m超格子(m=10, 30原子層)を試料として、光変調反射分光法を用いてミニバンド間光学遷移に関する系統的な測定を行った。上記の全ての試料において、ポテンシャル障壁下、及び、障壁上ミニバンドによる光学遷移を明確に検出した。有効質量近似に基づくミニバンド構造の計算結果は、ポテンシャル障壁下から障壁上のエネルギー領域における光学遷移を矛盾無く説明できることを確認した。 3.ミニバンド状態からWannier-Stark (WS)局在状態への移行過程:p-n接合に埋め込まれた(GaAs)_m/ (Al_xGa_<1-x>As)_n超格子[(m, n, x) = (25, 12, 0.1)]を試料として、電場変調反射スペクトルの電場依存性に関する測定を行った。π点におけるFK振動の形状が電場が高くなるにしたがって大きく変化し、その形状変化がミニバンド状態からWS局在状態への移行過程を反映しているという結論が得られた。
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