(1)平成7年度につずきカルボライトのインターカレーション物性を研究した。おもにカリウムのインターカレーションをくわしく調べた。炭素の鎖間はπ電子の波動関数で隔てられているが、インターカラントイオンは、π電子群を掻き分けてインターカレートする。反応温度が600K以下でないとカルボライトが壊れる。例えば473Kでは元5MΩの抵抗が1時間後に300KΩに下がり、後1000時間くらい一定のプラトーを保ち、後急激に2桁低下する。パーコレーション現象が効くのではないか。プラトーのとき温度を室温に下げると抵抗が増し0.38eVの励起エネルギーに対する。 (2)カルボライトについてサファイア単結晶にクエンチした試料の基板にそう(つまり炭素鎖間を縫う抵抗)は半導体的で285〜350Kでは0.31eVで不純物順位である。固有ギャップは光吸収から1.6eVと見積られたのは前年度に報告した。 (3)カルボライトに十分カリウムをインターカレートさせた試料につき高感度磁性を測定したが反磁性は得られず、超伝導はみられなかった。 (4)カリウムでインターカレーションしたカルボライトにつき磁性を測定した。磁化率x対逆数温度1/Tプロットは直線となり下式で表される。つまり右第1項はおそらくケースからの一定磁性であり、第2項より試料はキュウリ-ワイス温度が-1.25Kの反強磁性を表す。 (5)単結晶サファイア基板に生成させたカルボライトの基板面に平行に入れたX線による回析からO.34nmの炭素鎖間距離がえられ、炭素鎖配置に関するわれわれの仮定が実証された。
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