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1996 年度 実績報告書

量子ホール効果における電流分布

研究課題

研究課題/領域番号 07640454
研究機関中央大学

研究代表者

若林 淳一  中央大学, 理工学部, 助教授 (30129225)

キーワード量子ホール効果 / 電流分布 / ランダウ準位
研究概要

平成8年12月までに,分布を持った磁場下の量子ホール効果の温度依存性の測定を,温度範囲50mK〜4.2Kで,高移動度と低移動度の試料について行い,ホール抵抗のプラトー間遷移領域の,高磁場側へのシフトの温度依存性を観測した.磁場分布は,Bi系高温超伝導体の単結晶を,試料の上に張り付けることによって作った.この超伝導体のつくる磁場分布を,多端子ホール素子を新たに作製して,これを用いて実際に測定した.その結果,これまでの推定磁場分布が,実際の磁場分布のよい近似になっていることが分かった.この測定した磁場分布を用いて,遷移領域のシフトの温度依存性を解析した.その結果,量子ホール効果の遷移領域でも,バルクエッジ電流が存在することが確かめられた.さらに,高移動度試料の電流分布の温度依存性が,低移動度試料の温度依存性よりも強いことが明らかになった.この結果は,温度依存性の機構に,非弾性散乱が関与していることを示唆する.しかし,電流分布の形を定量的に決定するには,磁場分布を定量的に決定するだけでは不十分であり,電流分布の温度依存性の機構について,理論的な考察が必要であることが明らかになった.
また,スピン分離したランダウ準位について測定した結果,スピンアップとスピンダウンのランダウ準位で,温度依存性がまったく異なることを見い出し,この現象が,試料の移動度やランダウ準位指数に依らず,一般的な現象であることを確かめた.これは,整数量子ホール効果において,電子スピンに依存した現象を初めて見いだしたものであり,その意義は大変大きい.

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] J.Wakabayashi et al.: "Current Distribution in the Quantum Hall Regime Observed in a Distributed Magnetic Field" Journal of the Physical Society of Japan. 66・2. 413-418 (1997)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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