3d遷移金属間化合物Ce_3Pd_<20>Si_6の結晶構造は立方晶であり、帯磁率、電気抵抗、比熱がすでに調べられている。0.3以下の低温領域で電気抵抗はρ=ρ_0+AT^2のような温度変化を示す。ρ_0は32.5(μΩcm/K^2)及びAは58.8(μΩcm/K^2)である。Ce_3Pd_<20>Si_6の磁気比熱はCe当たりの電子比熱係数が8J/molK^2ときわめて大きく重い電子系と見られている。本年度は、重い電子系は圧力変化に対して敏感は応答を示ので、この化合物における電気伝導及び比熱測定等の圧力効果を研究し、電子状態の確認を行った。 1)電気抵抗の圧力変化 圧力は^4He温度で定加重型2種類及び^3He温度ではピストンシリンダー型クランプセル1種類を用いた。近藤温度を反映していると見られる抵抗の極大T_<max>は8GPaまで圧力と共に増加する事を確認した。その平均の圧力変化率はdT_<max>/dP=+25(K/GPa)である。 2)比熱の圧力効果 比熱はピストンシリンダー型クランプセルを用い高圧下で断熱法によって測定した。今まで圧力セル内で使用していたテフロンは圧縮率が極めて大きく、比熱のバックグランドが大きく変化し、誤差が大きくなる。我々はテフロンの代わりにPbを使用しデータの再現性を得た。5.7Kbarまでの圧力変化に対して比熱のC/Tは低温で全く圧力効果を示さない。この結果低温におけるC/Tの増加は近藤効果の寄与ではなく他の原因、たとえば磁気的な寄与、であろうと結論した。
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