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1997 年度 実績報告書

ネストしたスピンゆらぎの理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 07640477
研究機関大阪大学

研究代表者

三宅 和正  大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (90109265)

研究分担者 成清 修  大阪大学大学院, 基礎工学研究科, 助手 (60252631)
キーワードネストしたスピンゆらぎ / 銅酸化物高温超伝導体 / 量子臨界点 / 擬ギャップ / 残留抵抗の異常 / URu_2Si_2
研究概要

本研究計画3年間の研究を通じて,銅酸化物高温超伝導体がそのノーマル状態で示す「スピンギャップ的ふるまい」とか「スピン電荷分離の様相」といった性質は,フェルミ液体論にもとづいて「ネストしたスピンゆらぎ」の効果を取り入れることで基本的な理解が得られることを示してきた。本年度は,低ドープ領域で観られる1体励起スペクトルの擬ギャップ構造が,その他の物理量(NMR縦緩和率の温度依存性に現れるピークや電気抵抗の温度依存性の折れ曲がりなど)の異常と同じ機構として理解可能であることを示した。即ちそれらの異常の原因は,準粒子のフェルミ面が反強磁性モット転移点近傍でネストすることによりスピンゆらぎのコヒーレントな部分の重みが減ることに帰せられることを示した。
量子臨界点近傍のスピンゆらぎが不純物散乱に与える効果をスピンゆらぎについて摂動的に計算し,散乱ポテンシャルが臨界的に増大することを示した。この結果は,加圧下のMnSiの残留抵抗が強磁性量子臨界点で示す発散的異常を定性的に説明する。また,銅酸化物高温超伝導体において超伝導状態と反強磁性が臨界的に接していることを自然に説明する。
URu_2Si_2の異常に弱い反強磁性が,準粒子のフェルミ面のネスティングの効果とUイオンのf^2結晶場1重項の有機モーメント機構を組み合わせることによって理解可能であることを示した。とりわけ,T_NとT=0での秩序モーメントmの磁場依存性が一見異なる磁場によってスケールされることを自然に導いた。
量子臨界点における反強磁性スピンゆらぎに新しいクラスが存在することを見つけた。即ち,単位胞に複数の磁性イオンを含む場合には動的臨界指数がz=3となることが可能であることを指摘した。これにより,従来謎とされてきたCeCu_<5.9>Au_<0.1>の臨界的性質を矛盾なく説明することができる。また,反強磁性量子臨界点における一様磁化率の理論を展開し,その温度依存性がconst-aT^nの異常を示すことを導いた。ここで,n=1/4(z=2のとき)またはn=1/3(z=3のとき)である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] I.Kuroda: "Magnetism of Single Ni-Impurity in High-Tc Cuprates" Physica B. 237-238. 103-104 (1997)

  • [文献書誌] H.Kusunose: "Competition between Hund-Rule Coupling and Kondo Effect" Journal of the Physical Society of Japan. 66. 1180-1186 (1977)

  • [文献書誌] O.Narikiyo: "Nested Spin-Fluctuation Theory for Magnetotransport in the Normal State of High-Tc Cuprates-Violation of Kohler's Rule" Journal of the Physical Society of Japan. 66. 1561-1562 (1997)

  • [文献書誌] Y.Okuno: "Effect of Spin Fluctuation on Phonon Selfenergy in High-Tc Superconductor" Journal of the Physical Society of Japan. 66. 1838-1839 (1997)

  • [文献書誌] Y.Okuno: "Renormalized Perturbation Approach for Examination of Itinerant-Localized Duality Model for Strongly Correlated Electron Systems" Journal of the Physical Society of Japan. 66. 2389-2398 (1997)

  • [文献書誌] H.Ikeda: "Effect of Crystalline Electric Field on Heavy Fermions : Fermi Liquid State with f^2-Singlet Configuration" Journal of the Physical Society of Japan. 66. 3714-3717 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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